--- --- 医療者向け希少疾患診断支援システム PubCaseFinder に関する論文が The American Journal of Human Genetics 誌に掲載されました | DBCLS

医療者向け希少疾患診断支援システム PubCaseFinder に関する論文が The American Journal of Human Genetics 誌に掲載されました

当センターの藤原豊史特任研究員、山本泰智特任准教授、金進東特任准教授、The Hospital for Sick Childrenに勤務するOrion Buske氏、そして東京大学の高木利久教授による論文、「PubCaseFinder: A Case-Report-Based, Phenotype-Driven Differential-Diagnosis System for Rare Diseases」がThe American Journal of Human Genetics誌に掲載されました。論文は下記URLからご覧いただけます。 https://doi.org/10.1016/j.ajhg.2018.08.003

希少疾患は6,000以上存在し、適切な治療を施すには早期の診断を必要としますが、実際には診断までに多くの時間を要します。そこで近年では早期の診断を目的とし、希少疾患が疑われる未診断患者を対象にエクソーム解析などのゲノム解析が実施されています。しかし、患者の60〜70%程はゲノム解析を用いても診断がつかず、また全ての未診断患者がゲノム解析を受けられるわけではありません。

これら患者の早期診断には、医療関係者が希少疾患の情報や過去の症例を容易に検索できる環境整備が重要です。そこで我々は、患者の症状を入力するだけで、関連する希少疾患の候補を可能性が高い順に自動的にリストアップする、医療者向けの希少疾患診断支援システム PubCaseFinder を開発しました。希少疾患データベースOrphanetに含まれる疾患を検索対象とし、各疾患には症例報告(文献)が紐付けられているので、過去の症例も容易に検索することができます。

PubCaseFinderの特徴は、希少疾患に関連する兆候・症状をテキストマイニング技術を用いて約100万件の症例報告から抽出し活用した点です。また、PubCaseFinderのAPIはGA4GH(Global Alliance for Genomics and Health)のドライバープロジェクトであるMatchmaker Exchangeに採用され、新規希少疾患の定義や新規疾患原因遺伝子の同定に活用されています。論文には、兆候・症状の抽出方法および結果、PubCaseFinderの構築方法、また既存システムとの疾患ランキング精度の比較結果などが記載されていますので、是非ご覧ください。